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ウイルス作成や保管を処罰する「改正刑法」が成立 - 電子計算機損壊等業務妨害罪は未遂も対象に

コンピュータウイルス作成罪などを新設した刑法改正案が、17日に参議院本会議で可決、成立した。

今回の改正は、情報処理の高度化に伴うサイバー犯罪の発生や、サイバー犯罪関連条約の締結を目的としたもの。閣議決定は3月11日で、その後東日本大震災が発生したが、国会へ法案が提出され、衆議院で5月31日に可決していた。

新設された部分について、一般的に「ウイルス作成罪」などと呼ばれているが、条文には具体的な「ウイルス」という記載はない。

改正刑法では、「不正指令電磁的記録に関する罪」として規定。他人がコンピュータを利用する際に、正当な理由なく意図した動作を阻害したり、意図に反する動作をさせるプログラムを、作成、提供、または併用した場合について、処罰の対象としている。

違反した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と科され、未遂も処罰の対象。また正当な理由なく取得したり、保管した場合についても、2年以下の懲役や30万円以下の罰金と定めた。

セキュリティベンダーやバグなどが対象になるとの懸念も出ており、「正当な理由がない場合」という制限を盛り込んでいる。

「電子計算機損壊等業務妨害罪」では、あらたに未遂を処罰対象に追加したほか、わいせつ画像の送信行為についても処罰の対象とした。

「刑事訴訟法」についても改正を実施し、「接続サーバ保管の自己作成データ等の差押え」について記載を追加している。

裁判官が認めた場合、差し押さえ対象となるコンピュータから接続し、変更や消去が行えるサーバ上のデータについてもデータを差し押さえることが可能となる。

また差し押さえのために必要が認められた際は、ISPなどへ通信履歴について最長60日まで保全要請が行えるほか、没収したデータの処理に関する規定についても含まれる。

(Security NEXT - 2011/06/20 ) このエントリーをはてなブックマークに追加

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