【インタビュー】Linux製品の機能強化は日本ユーザーのため - エフセキュア
ウイルスやスパイウェア製品で知られるフィンランドのエフセキュア。2008年に設立20周年を迎え、日本法人も今年10周年を迎えた老舗セキュリティベンダーだ。
Security NEXTでは、来日した同社コーポレートビジネスバイスプレジデントのMaria Nordgren氏にインタビューする機会を得た。同社の日本市場における今後の動向など聞くことができたので、お届けしたい。
ユーザーの存在を大切にする想いを込めた新生「ロゴ」

Maria Nordgren氏
■(Security NEXT)9月にロゴやスローガンなどコーポレートイメージを変更したが、そのねらいは?
Nordgren氏(以下、N氏):今回の変更はエフセキュアの変革を表したものだ。フィンランド人は、日本人と似ていて技術を重んじる傾向が強い。そこにコンピュータの前に存在する「人」の存在を忘れているのではないかとの反省があった。
エフセキュアでは、よりユーザーサイドに立った対応を目指し、ロゴにもユーザーを包み込みイメージを持たせた。同時に新しい技術を取り込んで行く「トルネード」の意味も込めている。

旧ロゴ(画面左)と新ロゴ(画面右)
これまでエフセキュアは、ウイルスやスパイウェア対策を中心としてきたが、今後必要とされるセキュリティ対策はそれだけではなく、インターネット体験のすべてにおいて安全を感じてもらいたいと考えている。3カ月フランスのバックアップ製品を提供する会社を買収したばかりだ。
スローガンについても同様で、ユーザーが操作を意識せずに守ることができるよう心がけており、「かけがえのないものを守る」を採用した。
欧米と比べて独特な「日本市場」
■海外と日本のエンタープライズ市場を比較して大きな違いはあるか?
N氏:日本では他国と違って「Linux」が浸透している。大きなハードウェアのメーカーが存在していることが理由だと思う。エフセキュアでも「Linux事業」が大きな割合を占めているのは日本だけだ。日本のLinux市場において約40%のシェアを確保している。
Linux製品群は日本を対象に作っていると言っても良い。次にリリースするLinux製品については、エンジン部分を全面的な見直しを行っているが、これも日本のベンダーやユーザーの要望に応えたものだ。
セキュリティを保ちながら、容量の消費を抑えたほか、自動的にエンジンをアップデートできるプラットフォームについても提供を予定している。
■最近注目されているSaaS型サービスについて日本市場をどのように開拓していくか
N氏:われわれのSaaSビジネスにおいて、もっとも大きなパートナーは富士通だ。日本はエンジニアリングのコストが高いため、SaaSに適した市場だと考えている。
1年ほど前から日本のある企業と事業を進めている。エフセキュアがポータルを提供することで、その企業が顧客が持つセキュリティ上の問題を解決できるしくみを提供している。こうしたサービスについて今後大きなビジネスチャンスがあると考えている。
海外では、かなり大きな規模でSaaSサービスやサブスクリプションベースのビジネスを展開している。SaaSをISP経由で提供するビジネスモデルでは、エフセキュアが市場のリーダー的な存在だ。
■ウイルスやスパイウェア対策以外の部分で力を入れていく分野は?
N氏:米国ではハードウェアベンダーやDLPベンダーとパートナーシップを結んでいる。日本国内でも、優秀なパートナーとビジネスを進めている。コアとなる技術は、マルウェア対策となり、これらは自社で完結させ、他分野については優秀な会社と連携していくつもりだ。
今後は今まで以上にエンドユーザーへ配慮してビジネスを展開していきたい。強みとしている部分に開発リソースを注いだり、買収を通じてサービスを提供していなかったサービスや地域に参入していきたいと考えている。
(Security NEXT - 2009/10/30 )
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