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標的型攻撃の大幅増加、「ばらまき型」に起因 - ただし巧妙な攻撃も増加傾向

2015年における標的型攻撃の認知件数が前年より大幅に増加したことが警察庁の発表により判明した。汎用的な「ばらまき型」の増加が背景にあるが、巧妙な攻撃も徐々に増加していると見られ、注意が必要だ。

警察庁によれば、「サイバーインテリジェンス情報共有ネットワーク」からの報告など、同庁が2015年に把握したメールによる標的型攻撃は3828件。前年の1723件から倍増した。

背景には、「ばらまき型」の大幅な増加がある。2013年は259件だったが、2014年に1474件、2015年には3508件へと拡大。「ばらまき型」が全体に占める割合を見ても、2013年は53%だったが、2014年には86%に上昇。さらに今回は9割を超えた。

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「ばらまき型」とそれ以外の推移(表:警察庁)

標的型攻撃では、約9割において非公開のメールアドレスが標的となっているものの、「ばらまき型」は不特定多数の組織に対して同様のメールを送り付けるもので、いわば汎用的な攻撃と言える。セキュリティ機関による注意喚起や、日本年金機構の情報漏洩事件などをきっかけに報道も増えて注目が集まっており、認知件数の増加に影響した可能性もある。

汎用的な「ばらまき型」の攻撃に対し、受信者のプロフィールを踏まえて個別にカスタマイズを行ったり、複数回の連絡を通じて相手を信用させる「やりとり型」など、より巧妙な「標的型攻撃」も発生している。

こうした「ばらまき型」に分類されない「標的型攻撃」の動向に注目すると、同庁が2013年に把握したのは233件だったのに対し、2014年は249件。2015年は320件と前年比28.5%増となり、「ばらまき型」ほど件数は多くなく、高い増加率も示していないが、こちらも増加傾向にある。

ただし、これらはあくまでも同庁が把握した件数となる。発覚しないよう展開される攻撃の性質上、侵害を受けながらも被害者が認知に至っていないケースや、やり取りに機密情報が含まれ、認知したものの報告していないケースなどもあるはずだ。実態がこうした数字より大きく上振れている可能性もあり、引き続き注意が必要だ。

(Security NEXT - 2016/03/18 ) このエントリーをはてなブックマークに追加

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