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標的型攻撃の相談、半年で246件 - 組織関係者の個人PCも踏み台に

サイバーレスキュー隊「J-CRAT」が設けている相談窓口に対し、2015年度上半期の4月から9月までの間に246件の相談があった。前年同期の約6倍へと増加している。

同組織は、情報処理推進機構(IPA)が2011年11月に設置した「標的型サイバー攻撃特別相談窓口」をもとに、2014年7月より本格的な活動を開始。標的型攻撃による被害の低減や拡大の防止を目的に活動を展開している。

2015年4月から9月までの半年間に寄せられた相談は246件。そのうち、早急な対応が必要と判断した104件にレスキュー支援を提供。また31件については隊員を派遣するオンサイト支援を実施した。

前年同期となる2014年上半期は相談件数が41件、レスキュー支援が17件、オンサイト支援が6件で、わずか1年で5倍から6倍への水準へと拡大した。前期2014年度下半期の相談件数(66件)、レスキュー支援(21件)、オンサイト支援(5件)と比較しても、いずれも大きく上回った。特に6月に発覚した日本年金機構の情報流出事件以降、相談件数の増加が目立った。

2015年度上半期のレスキュー支援対象となった組織の内訳を見ると、「社団、財団法人」が41件でもっとも多い。独立行政法人16件、それ以外の公共機関など28件のほか、企業に対しても19件の支援を行った。

標的型攻撃では、下請け業者や取り引き先が侵入を許し、それら組織を踏み台に標的型攻撃が行われることがあるが、2015年度上半期は、あらたに組織とつながりがある「個人」が狙われるケースが確認された。重要ポストなどを過去に務め、その後も組織とやり取りがある個人のパソコンがマルウェアへ感染、攻撃が行われていた。

また実在する業務メールを加工して攻撃メールに転用するケースも引き続き発生している。これらメールの受信者や送信者がマルウェアへ感染し、悪用されていた。

文面や添付ファイル名だけで見分けるのは困難だが、大半は差出人のアドレスやファイルの拡張子を確認すれば、不審な点に気付くことが可能なものだったという。

(Security NEXT - 2015/10/27 ) このエントリーをはてなブックマークに追加

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