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日本人研究者に世界デビューの場を提供する国際会議「CODE BLUE」 - 言語の垣根を越えて高い技術を海外発信

2014年2月に日本発のセキュリティカンファレンス「CODE BLUE」が開催される。同カンファレンスの事務局は、11月5日のプレス発表に続き、翌6日に記者会見を開催し、論文の査読を行うレビューボードのメンバーを交えて開催の目的など詳細について説明した。

同イベントは、ベンダー中立のセキュリティを専門とした国際会議。国内外から論文を募集し、研究発表や専門家の交流の場を提供する。日程は2日間で、1トラック8セッションを予定しており、全編日本語と英語の同時翻訳を提供する。著名なセキュリティ専門家であるJeff Moss氏やChris Eagle氏を基調講演のスピーカーとして招聘することが決定している。

論文およびプレゼンテーションは、英語はもちろん、日本語でも可能。英語の論文の作成について支援し、国内からの情報発信をサポートする。

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事務局を務めるBLUEの篠田氏

今回の会議で事務局を務める篠田佳奈氏は、周辺諸国では国内発のセキュリティカンファレンスが盛んに開催されているが、日本では遅れを取っていると説明。

政府のサイバーセキュリティ戦略においても、人材育成の観点から国際会議の開催や参加を推進するとの方針が示されていることを挙げ、「今回の会議は非常に良いタイミング」であると話す。

同氏は、単に日本国内で開催するのではなく、国内から海外に発信する「国際会議」である点をアピール。海外のコミュニティと密に連絡を取っており、すでに参加を表明しているセキュリティ専門家もいるほか、スピーカーとして興味を持っている海外研究者がいることなども明らかにした。

「日本は、ITなど高い技術を持っているにもかかわらず、セキュリティ分野の発信が少ないことを疑問に感じている海外の技術者は多い。CODE BLUEを通じて情報を発信していきたい」と開催に向けての意気込みを語る。

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FFRIの鵜飼氏

論文の査読を行うレビューボードのメンバーは、FFRIの代表取締役社長である鵜飼裕司氏、SECCON実行委員長を務めるサイボウズ・ラボの竹迫良範氏、ネットエージェントでエバンジェリストを務めるはせがわようすけ氏、トレンドマイクロの新井悠氏の4氏。

鵜飼氏は、「同イベントを通じ、産業競争力、自分自身を守る力、人材育成の3点でグローバルのトップレベルまで日本を引き上げていきたい」と言葉にも力が入る。

「情報セキュリティ産業では、米国が基礎技術を持ち、ビジネス的にレバレッジが効き、技術的にもエキサイティングな部分が押さえられている。CODE BLUEには、日本の基礎技術を支える研究開発の場となることを期待したい(鵜飼氏)」

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サイボウズ・ラボの竹迫氏

同氏は、防御において海外の技術に大きく依存している状況についてもあわせて指摘し、基礎技術を国内で開発していくことの重要性についても強調した。

またSECCONで人材育成などを進める竹迫氏は、「国際的に名前が知られている日本人ハッカーは少なく、有名なハッカーは外国人が多い」と説明。

あたらしい攻撃方法が発表されると、発見者の名前が攻撃名に命名される例を挙げ、国内から有名なハッカーを輩出したり、日本においてセキュリティ研究が進んでいることをアピールしたり、世界で認められる場となることへの期待を示した。

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トレンドマイクロの新井氏

新井氏は、国内の技術が決して低くないと述べ、「国内の地方でIT勉強会に参加した際、レベルが高い話を聞くこともあり、国際カンファレンスで発表することを勧めたこともある。しかし、言語の壁で尻込みしている人も多い」と高い技術を持ちながらも、発信が行われていない状況を説明した。

「こうした現状を変えるのがCODE BLUEであり、国内で国際発表できることについて、すでに研究者から評価の声が挙がっている」とし、「査読者としてフェアに技術を評価し、すばらしい内容を参加者に届けたい」と抱負を語った。

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ネットエージェントのはせがわ氏

はせがわ氏は、自身が「Black Hat Japan」で発表を行った際に得た体験を語り、「発表するとすぐに世界各国から問い合わせがあり、フィードバックが寄せられた」として、国際会議で論文発表を行うメリットを訴える。

「日本の技術が不足しているとの報道もあるが、日本が突出している技術もあり、機械翻訳を利用して日本語のブログから情報を収集している海外の研究者がいるほどだ。CODE BLUEが言語の垣根を崩してくれることに期待したい」と語り、「論文の提出を迷っている人は、概要でも構わないので、まずは応募してみてほしい」と参加を呼びかけた。

20131107cb_006.jpg事務局の篠田氏とレビューボードのメンバー

(Security NEXT - 2013/11/07 ) このエントリーをはてなブックマークに追加

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