「マルウェアで死者が発生する時代」は目の前
マカフィーは、プレス向けの説明会を実施し、米McAfee Avert LabsのJoe Telafici氏が、セキュリティの展望について語った。
McAfee Avert Labsは、12カ国に設置され、24時間体制で対応しているMcAfeeの研究機関。同氏はオペレーションディレクターを担当している。
セキュリティの分野においては脅威がどのように移行していくか予測することは非常に重要だ。「実際に起きるか、起きないかはわからない」としながらも同氏は、想定している内容を語った。
「自己顕示欲」から「投資」へ
まず同氏は、クラッカーの攻撃目的が大きく変貌を遂げていることを挙げた。以前のクラッカーは、自己の技術をアピールするためにウイルスを全世界に広め、セキュリティベンダーのランキングなどの上位に名前が掲載されることに喜びを覚えていた。しかし、今世紀に入り、金銭目的の攻撃が中心になったという。
あくまで金銭を得るのが目的で、「対投資効果」に基づいた行動を取り、従来の「目立つこと」はせず、「隠密行動」を取る。この「投資効率」は、攻撃対象と密接に関係しており、狙われるプラットフォームは、市場の95%を占めるWindowsプラットフォームとなる。攻撃者は、従来のコードの蔓延などに興味がなく、1日で消えてしまうフィッシングサイトなど「使い捨てのコード」なども多用されているという。
効率の悪いプラットフォームは狙わないが、モバイルやMac OSなど、シェアが拡大し、投資効率が良い市場となれば、攻撃される可能性があるという。
マルウェアによる死者の発生、そしてサイバーテロへ
近い展望としては、1週間に発見される脆弱性が200に達すると予測。また、2000から3000種のマルウェアが登場が予測されるというから驚きだ。
すでに特定のアプリケーションやソーシャルネットワークがターゲットにされているが、今後さらなる攻撃の増加が見込まれるという。また、現在1割程度で利用されているルートキットだが、今後50%に利用されるなどデファクトスタンダード化を予言した。
さらに同氏は、「遅かれ早かれ、マルウェアによる死者が発生する」と述べた。
車の制御や、医療機器、軍事、通信インフラなどあらゆるシーンでコンピュータが利用されており、過失や偶然かもしれないが、マルウェアが原因の死者が発生する事態が発生。さらにサイバーテロへ発展していく可能性を想定しているという。「このようなことを考えると夜寝られなくなる」と深刻さを訴えた。
このようなマルウェアの拡大は、経済格差が影響している。雇用が確保されないなど、十分な収入が得られないことを理由に、マルウェア作成を行っているケースが存在していると同氏は指摘した。背景には、脆弱性が闇市場で取引されたり、国際的な緊張関係などを背景にマネーロンダリングなどの実際がある。
今後は、セキュリティ対策が国防などに重要な位置になるとし、製品についても互換性の向上やベンダー間での相互協力などが必要になると述べた。セキュリティの問題が技術的なものに留まらず、社会的な問題だと語った。
(Security NEXT - 2006/11/20 )
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