デマが駆け抜けたインターネット。求められるリスク対策
先日、「九州の某地方銀行が破綻する」というデマが流れ、一大騒動となった。噂が噂を呼び、預金が流出。流出した金額は500億円にも上ったという。
携帯電話やインターネットなど、ひとたび情報が表に出れば、一瞬で広がる。特に「恐怖」や「不安」など、身の危険に迫るような内容であれば、人々は冷静さを失い、真偽を確かめる前に行動へ移してしまう。そして周りが同様の行動を取ることで、自分の行動が肯定され、最後には噂を「正しい情報」と信じ込んでしまうのだ。そうなってしまうと、今回のような「取り付け騒ぎ」はもちろん、「暴動」など大きな事件へ発展してしまいかねない。
そういった時、唯一人々に冷静さを取り戻させるもの、それは、信憑性があり、量的に充実した「情報」だ。正しい情報を提示することにより「短絡的な行動こそ自分にとってリスクである」ことを説得できれば、人々の冷静さを取り戻させることができる。
実は以前にも「デマによる銀行の取り付け騒ぎ」は起きている。1973年に発生した「豊川信用金庫の取り付け騒ぎ」だ。これは女子高生が発した「なにげない一言」が原因となり、取り付け騒ぎまで発展した事例だ。
佐賀銀行は、前例があったにもかかわらず「デマメールへの対処」を怠り、大きな事件まで発展してしまった。人々は国内の銀行が不良債権を抱えていることを知っており、常々不安に思っている。「噂」に対して非常に敏感になっていたことも原因のひとつだろう。
西日本新聞の報道によれば、佐賀銀行では危機管理が甘かったとし、危機管理マニュアルの改訂や、連絡体制の見直しを図るという。今回は幸い破綻にまで至らなかった。しかし、今回の損失が経営に影響を与えたならば、経営判断の責任は問われることになるかもしれない。「噂のせいだ」では出資者や預金者は納得してくれないだろう。
今回の事件は、「東芝事件」とは性質が違うが、インターネット上の「噂」が企業にとって大きなリスクとなる事例だ。リスクマネジメントが企業にとっていかに大きな課題であるか、教訓となる事件だったといえる。
(Security NEXT - 2004/02/02 )
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