ファイル共有ソフト「Winny」開発者、上告審で無罪が確定
ファイル共有ソフト「Winny」の開発者である金子勇氏が、著作権法違反幇助の罪に問われた上告審で、最高裁は上告を棄却し、同氏の無罪が確定した。
1審では、不特定多数によって著作権の公衆送信権を侵害していることを認識しながら「Winny」を提供し、侵害行為を手段の面、匿名性による精神的な面から容易にしたとして京都地裁は幇助を認め、罰金150万円の有罪判決を言い渡したが、検察側、弁護側いずれも控訴。
2審の大阪高裁では、著作権侵害が発生することを認識しつつも、主要な用途として「Winny」を公開したわけではないとして、2009年10月に無罪判決を言い渡していた。
最高裁は、1、2審同様、「Winny」を中立ソフトであり、匿名性について通信の秘密を守る技術であり、違法視するべき技術ではないとし、著作権侵害に特化したものではなく、用途について個々の利用者の判断にゆだねられていると指摘。
ソフトの開発行為に対する過度の萎縮効果を生じせないため、単に他人の著作権侵害に利用される一般的な可能性を認識して公開しただけでは、著作権侵害の幇助行為に当たるべきではないとの考え方を示した。
その上で、処罰の対象となる違法性の判断には、例外の範囲を超える利用者が著作権侵害に利用する蓋然性が高く、提供者がそのことを認識している必要があるとの判断を示し、金子氏がそのことを認識していたとはいえないとして、2審を支持した。
今回無罪が確定したが、大谷剛彦裁判官は判決において、侵害的な利用が多発しており、高度の蓋然性を認識していたとして、公衆送信権侵害の幇助犯が成立するとの反対意見を示している。
今回の判決を受け、金子氏は「開発を躊躇する多くの技術者のために訴訟活動をしてきた」とし、「開発態度が正しく認められたことをありがたいと思う」とコメント。あわせて「Winny」を悪用しないよう呼びかけた。
また同氏の弁護団は、無罪判決を評価する一方、「逮捕から7年以上経過しており、失われた7年は、同氏だけでなく我が国のソフトウェア技術者にとって大きな損失」と指摘。「捜査機関が、偏見で捜査を進め、立件した事件」であると非難している。
(Security NEXT - 2011/12/22 )
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