最初の1歩を踏み出した「日・ASEAN情報セキュリティ政策」
参加国間でこうした問題意識を共有し、対策を講じて行くことが会議の大きな目標だ。会合には、情報セキュリティ対策を担当する内閣官房情報セキュリティセンター、通信分野の総務省、海外投資分野の経済産業省と、3省庁が協力体制で会議に臨んでおり、政府による横断的な取り組みからも力の入り具合が伝わってくる。
そして今回の会合で日本の主張をより現実的な問題として後押ししたのは、実際にセキュリティの問題と日々格闘する国内企業だ。
現地生産にこだわりをもつ自動車バイクメーカーは、ASEAN諸国を投資対象として重要視している点を強調。バイクについては各国において現地生産が進んでいるものの、情報セキュリティ環境の整備が進んでいないことから、より機密情報など含まれる自動車の生産ラインが国内に集中せざる得ない現状を説明した。
さらに経団連の代表として参加した大手通信会社は、日本国内において情報漏洩事故などに対する企業の対応や説明責任が重要視されている点を強調。積極的な取り組みを示す事例として、未記入の領収書を紛失しただけでも悪用される可能性があることから、二次被害防止に取り組んだ企業に関する報道を紹介した。
くわえて製造業大手2社も、実際に取り組んでいるきめ細かい情報セキュリティ対策や、導入しているマネジメントシステム、ビジネスパートナーに対して一定以上のセキュリティ対策が必須となっている点、さらに国内でスタートしている情報セキュリティの格付け制度へ言及し、対策が必要不可欠となっている日本の事情を解説した。
今回の会合では、最終的に知識集約型経済の促進を向上させることや、インフラ確立が事業継続において不可欠であることを認識し、政府が情報セキュリティに対する政策を実施すべきであることなど、基本的な枠組みについて合意がなされた。
なかでも、継続的な政策的対話の枠組み創設に向けた検討について、合意に至っており、今夏に開催される経済、通信分野の大臣級会談で報告が行われるなど、中長期的な取り組みにおける1歩を今回着実に踏み出した。
(Security NEXT - 2009/03/02 )
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